どんな競技にかかわらず、トーナメント、オーディション、コンテスト、プレーヤーは常に試される。優勝するためにはいくつもの過程を経て、技術や戦略はもとより、運や情報などの要素を味方につけてそこに至るのである。コンテストを勝ち上がるうえで実力も必要だがそこにはテクニックも存在する。さらに言うと
予選と本戦、決勝では戦い方やテクニックが変わってくる。
対人スポーツの場合は予選一回戦で優勝者と当たってしまう可能性もあるが、
あくまで可能性である。予選出場者が入賞するのはまれで、大概の場合は8シードの誰かがが予選上がりをつぶし、4シードの誰かが優勝する可能性の方が高いのである。
なぜならテクニックが違うからだ、予選の勝ち上がり方と1,2回戦の勝ち方、
入賞する方法、優勝に必要なテクニックは違うからだ。
技術や戦術、フィジカルなど変わってくるが、市民大会から世界大会までこの構図は変わらない。 優勝するためのテクニックを使ったとしても、予選を上がれるとは限らない、
必要とされるスキルが違うからだ。もちろん勝ち上がれる事もあるが、明らかなオーバーテクニックを続ければ、パフォーマンの安定は見込めない。勝ったり負けたりではシードになれず単発で終わってしまう。実力はあるにもかかわらず次のステップに上がる事ができず、同じところを行ったり来たりすることになるだろう。
①予選を勝ち上がるテクニック
予選では基本的なプレー、パフォーマンスの安定度、その競技に対する理解度が試される。高度なコンビネーションや、ユニークなプレー、鮮やかなショットは求められていない。例えるなら、歌唱審査でダンスでの加点を狙うより歌唱に集中したほうが良い(審査委員、対戦相手によっては有効になるかもしれないが、安定して予選を上がるには必要ない)
勝つというより、相手に負けないと言った方が正しいかもしれない。
70%以上入るファーストサーブ
予選を勝ち上がるには200キロサーブは必要ないし、角に突き刺さす鮮やかなサービスエースもいらない、70%以上入るスピードのスライスサーブを相手のボディーに打つべきだ。サービスエースを狙うより、相手のミスを誘うサービスポイントを狙いたい。
打ち込まれないセカンドサーブ
セカンドはほぼ100%入りかつ打ち込まれないサーブが欲しい、
振り切ったうえで回転で収まるスライスかスピンのかかったサーブが良い。
しかし打ち込まれることは覚悟して、準備するべきである。
攻撃的かつ安定したリターン
ファーストサーブに対しては少し踏み込みながらのブロックリターンが好ましい
はじかれてアウトしやすいので、負けないように前に踏み込みながら、
ラケットは出来るだけ自分の身体から離さないように壁になったつもりで
かえす。
セカンドサーブに対しては、攻撃する意思を相手に見せる意味でも、
ベースラインの内側に入り、上がりっぱなをライジングでひっぱたく。
ボールのスピードよりタイミングの速さが優先である。
ストローク、ラリー戦
予選を勝ち抜くためには、ベースラインとサービスラインの真ん中に高アベレージで打ち続けなければならない、高弾道のトップスピンドライブが好ましい。相手に打ち込まれても
ペースもコースも変える必要はない、相手のボールのスピードと自分の加速をたして10になるように(相手が8で打ち込んできたら2,相手が柔らかく4で返して来たら6)回転数と重心移動で調節する。この調節をするためには、ボールの真後ろに入りインパクト時に両ひざが前にむく必要があり、重心移動をする時間と間合いを作るため注意深く相手のプレーを観察すべきである。
②本戦1,2回戦で勝つテクニック
本戦1,2回戦での戦い方はショットのチョイス、コースコントロールが大切になる。ノーシードの選手はシードと当たる可能性もあるが、戦い方は変わらない。
年間通して戦う中で先ずは自らがシードになる事が優勝への近道だからだ。
サービスゲーム
ファーストサーブは40,50%くらいのフラットサーブを相手のバックハンド側に打つ
ブロックリターンを誘えれば十分でエースやミスを目指さなくてよい。
リターンが浅く入ってきた時にオープンコートにライジングでアプローチ、簡単なネットプレーで確実にポイントをかさねていきたい。
セカンドサーブは相手のバックハンドに回転系のサーブを打ちたい。
相手のヒッティングポジションがより後方であれば望ましい。
レシーブゲーム
出来るだけベースラインから下がらず、前に踏み込みながらのブロックリターンを
相手のバック側の角からラッケット2本分前狙う。相手のサーブが良い場合は、
返すことを優先、多少コースが甘くてもビッグサーバーはモーションが大きいので、
タイミングの早いリターンは有効打になりやすい。
ストローク、ラリー戦
セカンドタッチのショットは高弾道のショットを相手のバックハンドに深く打ちたい、
バックハンドの高い打点をベースラインからエースが取れるプレーヤーは少ないうえ、
無理をすれば浅くなるからだ、浅くなるまで我慢し、甘いボールはライジングでアプローチ、オープンコートにボレーを決める。ベースになるクロスラリーが深く入り続けることが
ここでは求められる。
③入賞するテクニック
入賞するためには、自分の長所と短所を理解すること、相手を冷静に観察し、ゲームメイクすることが求められます。選手によっては走らされると調子がよくなる選手や自分から仕掛けるのは得意じゃないが、強烈なカウンターが得意な選手、ストロークはいまいちだがネットプレーがうまい選手、逆にパスが突出してうまい選手などさまざまだ。
しかしここまで来たと言うことは只者ではないのは間違いないので相手のペースに飲まれれば、たちまち苦戦することは火を見るより明らかだ。
自分のショットバラエティーと相談しながら自分のペースにもっていく必要がある。
相手の試合をみる
自分の試合が始まる前、終わった後に次の対戦相手の試合があれば見ておいたほうがよい、
例え自分が負けてしまったとしても、来週の試合で当たるかもしれない。
試合で対戦が始まってからの情報だけでは不十分な可能性がある、ゲームの序盤で試合が決定することも稀ではないからだ。一番見るべきなのは、ポイントの有無にかかわらず、相手がバランスを崩したコース、球種、コンビネーションだ。
印象的なポイントがその選手の本質とは限らない。
必要な準備をする
対戦まで時間があるなら情報をもとに準備するべきだ。
相手のパフォーマンスを支えるビッグショットがあるなら対策を練るべきだ。
相手がビッグサーバーならリターンの練習、ストローカーなら強烈なフォアハンドを打たせない戦術やコースコントロールなど、やれることはすべて準備する。
自分を見失わない
相手を抑え込むだけでは勝つのは難しい、単調な戦術では相手も修正して自分のペースに持っていこうとするからだ。自分の長所を相手のプレーの中で発揮する戦術をプレーが始まる前にイメージ、シュミレーションして自分のペースに持ち込む努力が必要だ。
最後まで気を抜かない
ここまで来た選手は多少リードされたとしても、逆転する機会を狙っている。
少しでもすきを見せれば、修正不能な流れをつくり、一気に勝負を持っていかれる可能性がある。ストレスのかかる戦術でリードしていたとしても、勝つためには変えるのは危険だ。最初から最後まで気持ちよくプレーして勝つことほとんどないと思ったほうが良い。
④優勝するために
コンテスト、オーディション、トーナメントにおいて最高の結果を出すためには、
自分のベストパフォーマンスもしくはそれ以上を出さなければならない。
相手のプレーをイメージしらがらも、ことごとくそれを凌駕するプレーが求められる。
ポイントに対する執着心を保ちつつ、かかんにリスクのあるショットを繰り出し
常に相手の状況を観察、予測しながら、緩急を含めたコンビネーションを作っていく。
自分のビッグショットでウィナーをとるためのプランを繰り返す。
相手のプラン変更に対してそれを上回るプランで対抗する。
どれだけ自我を通せるかが勝利の鍵を握っている。
相手の戦意が喪失するようなバックのダウンザライン、見逃すしかないフォアハンドの逆クロス、手の届かないスライスサーブ、自分の最高のショットを繰り出し自分専用のステージにコートを変える必要がある。
時に、試合が終わったあとに思い返すと、大切なポイントでゾッとするようなショットをやっていたり、いつもでは考えられない大胆なコンビネーションをやっていたりする。
優勝者には冷静と情熱の間の絶妙なメンタルが必要になるのだ。